昔,学校のクラスで同じ誕生日の人はいたでしょうか.
いたらその人と運命を感じるものです.
その運命,どのくらいの確率なのか計算してみると,
直感に反する意外な事実が分かります.
誕生日の話のネタとしてどうぞ.
目次【本記事の内容】
同じ誕生日の人がいる確率は?
まずはクイズです.
(2)何人いれば,同じ誕生日の人がいる確率が50%を超えるでしょう?
(ただし、1年を365日とし,閏年は考えないとします.)
(1)に関して,同じ誕生日の二人がいるのは,滅多になさそう・・・
(2)に関して,1年は365日なので,半分の180人くらいいれば,50%くらいの確率で同じ誕生日の二人がいそう・・・・
答えは下にあります.
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答え:
(1)89%
(2)23人
!!!
1クラス40人いれば,89%の確率で同じ誕生日の人がいることになります.
(3人以上いるかもしれないし,2組以上いる可能性もあり.)
また,23人いれば,50%の確率で,同じ誕生日の人がいることになるのです.
これは直感に反して驚くべき数字だと思います.
数学的に確率を計算してみる
先ほどのクイズを数学的に計算してみます.
確率論です.
(1)1クラス40人の教室では,同じ誕生日の人がいる確率はどのくらいでしょう?
まず,全員が誕生日バラバラの確率を考えます.
初めの人は,365日のうちどの日でもよいので,確率は\(\displaystyle \frac{365}{365}\)
次の人は,前の人の誕生日以外の364日の候補があり,確率は\(\displaystyle \frac{364}{365}\)
さらに次の人は,前までの人の誕生日以外の363日の候補があり,確率は\(\displaystyle \frac{363}{365}\)
・・・
40人目の人は,前までの人の誕生日以外の65-(40-1)日の候補があり,確率は\(\displaystyle \frac{326}{365}\)
よって,全員が誕生日バラバラの確率はこれらの確率を掛ければよく,
$$\displaystyle \frac{365}{365} × \displaystyle \frac{364}{365} × \displaystyle \frac{363}{365} ×\cdots × \displaystyle \frac{326}{365}=0.108768\cdots$$
よって,少なくとも2人が同じ誕生日である確率は,上の確率の余事象を考えればよく,
$$1-\displaystyle \frac{365}{365} × \displaystyle \frac{364}{365} × \displaystyle \frac{363}{365} ×\cdots × \displaystyle \frac{326}{365}=0.891231\cdots$$
となります.よって,89%以上となります.
(2)何人いれば,同じ誕生日の人がいる確率が50%を超えるでしょう?
(1)を一般化して,n人のクラスで少なくとも2人が同じ誕生日である確率\(p(n)\)は,
$$p(n)=1-\displaystyle \frac{365×364×363×\cdots ×\{365-(n-1)\}}{365^n}$$
\(n=20\)人のとき
$$p(20)=0.411438\cdots$$
\(n=21\)人のとき
$$p(21)=0.443688\cdots$$
\(n=22\)人のとき
$$p(22)=0.475695\cdots$$
\(n=23\)人のとき
$$p(23)=0.507297\cdots$$
よって,23人いれば,50%を超えます.
50人もいれば,97%以上の確率で同じ誕生日の人がいます.
直感に反する事実
計算上は,1クラスあれば89%の確率で同じ誕生日の人がいるとのことですが,実際,経験上いましたでしょうか.
上の数字は直感とだいぶ異なると思います.
同じ誕生日の人なんていなかった,という方が大多数だと思います.
これは,”自分の誕生日”と同じかどうかで考えてしまっているからです.
自分の誕生日と同じ人がいるかどうかは,別の問題になります.
あなたがあるn人いる教室に入って,その中であなたと同じ誕生日の人が少なくとも一人いる確率\(p^{\prime}(n)\)は,
$$p^{\prime}(n)=1-\left ( \displaystyle \frac{364}{365} \right )^n$$
これは,253人(自分いれて254人)いて,ようやく自分と同じ誕生日の人がいる確率が50%を超える少ない確率です.
どうりで直感に反していると感じてしまうわけです.
まとめ
誕生日が同じと考えると,どうしても“自分と”というバイアスがかかってしまうため,
直感に反して確率が高く感じてしまいます.
実際の計算では,”誰か”と”誰か”が同じ誕生日かどうかなので,組み合わせは無数に発生し,結果確率が高くなります.
直感に反しているという意味で,「誕生日パラドックス」と呼ばれます.
論理的には何も矛盾していません.
一クラス(40人)で89%,
23人いれば50%超え,
自分と同じ誕生日で50%超えるには253人必要
23人と253人は似ているので覚えやすそうです.
是非覚えて誕生日の話のネタとして使ってみてください.